長野県 信濃町
「ぜひ先生のところでお願いしたいんです」
そう仰って事務所にT様がいらしたのが2021年の夏ごろ。
野尻湖が見える急傾斜地の別荘の計画。
聞けば祖父の代から引き継いだ土地で、おじいさまとの思い出が詰まった別荘を解体して新たな思い出が作れる別荘を新築したいとの事。
「こちらこそぜひよろしくお願いいたします」などと言ってみたものの、、、なかなかすごい傾斜地&前面道路が狭い&三角地。
今までにないくらいの施工難易度高め物件でした。
何度か「仮設などの費用で他の土地、買えちゃうかもしれませんよ?」と合理的なのか意地悪なのかわからない質問をさせて頂きましたが、その都度
「いえ、ここがいいんです」
とT様は仰り、意思は固いご様子。
しかもそのころトライトは諸々物件を抱えており、すぐには着手できず。。
結果、最初のお打合せから着工まで2年以上もお待たせしてしまいました。
その間、辛抱強くトライトを信じて待っていただいた姿勢に、私たちとしても何としてもこの別荘を素敵なものにしなければ!という意思で難条件を乗り越えることが出来たように思います。
建築の計画としてはシンプルにロフト形式のベッドスペース、水廻りなどはコンパクトに収めつつ、洗面台、浴室などは別荘感を感じていただけるよう少し豪華なものに整えました。
内装は北欧風のイメージに加え、バイオエタノール暖炉が部屋のどこからも見えるよう、階段下に設置して非日常感を演出しました。
(この暖炉の配置は打ち合わせの最中にT様から出たアイデアで、「それいいですね!」と高遠自身も膝を打ったのを覚えています。)
また、ご親族との思い出に、解体する建物に使ってあったものを再利用してほしい。。という事で、使われていた建具を解体して新たな扉に再生させていただきました。
この扉は脱衣とトイレ入り口の動線が重なる部分に中折れ式のパーテションとして設け、来客時の対応に一役買うはずです。
こちらはお待たせしてしまったお詫びとしてトライトからのプレゼントとさせていただきました。
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別荘の名前は「LOSKA(ロスカ)」を提案させていただきました。
フィンランド語で溶けかけの雪、といった意味があり、冬が長いフィンランドでは重要な意味を持つ単語だそうです。
この別荘では何かがほぐれるような、暖かい日差しが感じられるような、緩やかな気持ちで過ごしていただけたら、との思いを込めてプレゼントさせていただきました。
末永く使っていただけることを願っています。